1. Top
  2. BELLESIORA | ベルシオラ ジュエリー | エレメントコレクション

YOUR HANDSOMUSE STORY


ベルシオラは、半歩先を歩もうとする女性とともにあることを大切にしています。

そのため、「自分の人生を半歩先に進めた転機とそこに至るまでの過程や想い、
または半歩先の夢に向かっての決意や目標」を公募し、たくさんのHANDSOMUSEなみなさまから素敵なストーリーをお寄せ頂きました。
頂いたストーリーはピックアップの上、順次掲載させて頂いています。

ご応募下さったみなさま、ありがとうございました。
公募は既に締め切っていますが、大変多くの反響を頂きましたので、今後も企画を検討いたします。

Story16

「貴方の配属には反対だった。貴方は若すぎる。このプロジェクトに来る前に、仕事以外で学ぶべきことがたくさんある。」
私のプライドを粉々に砕いた上司の言葉を、10年経った今でも私は鮮明に覚えている。

新人研修卒業のプレゼントテーションで私は1位を取った。
1000人を優に超える企業で、売り上げトップ3常連の花形部署に配属された。
半年後には大口のお客様の担当になり、3年後にはプロジェクトリーダーに抜擢された。

順風満帆だった。正直に言って天狗だった。そんな私を更に調子に乗せたのが、あるプロジェクトへの配属だった。
秀でたキャリアを積んだ者だけが、所属長の推薦状を持ってプロジェクトリーダーの面接に挑み、受かった者だけが配属される一年更新型の社内改革プロジェクト。 名実ともに社内でも有数の人材だけがメンバーとなれるプロジェクトだ。私はそのプロジェクトに、最年少かつ、異例の面接無しでの配属が決まった。
プロジェクトマネージャーが、“新しい風を吹き込む人材”として、若手の私を抜擢したのだ。

配属を告げられ有頂天になった私は、帰り道に普段なら立ち寄らない百貨店へ足を運んだ。
今日は贅沢してデパ地下のお惣菜でも買おうと思ったのだ。しかし定時上がりだった事もあり、お腹も空いていないので少し時間を潰そうと一階のフロアへと上がることにした。鞄や靴をぶらぶらと眺めていると、ジュエリー売り場の一角に行き当たった。
当時の私はまだ三年目の一人暮らしで自由になるお金は少なく、雑貨屋の数千円のアクセサリーですら、何日も悩んで買う生活だった。
とてもジュエリーを買えるような身分ではない。場違いだと引き返そうとした時、売り場のお姉さんに声をかけられた。
なんと言われたかは覚えていない。でもその人の少し下がった目尻が優しげで、柔らかな笑顔にすーと引き込まれたことは覚えている。ぽーとお姉さんを見ていたが、ふと我に返り、誤魔化すためにショーケースを覗いた。
確か、ピンキーリングだったと思う。緑色の石を使ったお花のモチーフ。可愛いくて何より緑色がとても綺麗で思わず魅入っていると、試着を勧めてくれた。値段を見ると当然ながら数万円する。私にはポンと出せる金額ではない。断って立ち去ろうとした時、隣のケースのリングに目が釘付けになった。サイドがラウンドカットのメレダイヤで、真ん中にテーパーカットのダイヤがはめ込まれたずっしりと重たいプラチナのリング。数十万もするそれを、なんと私は買って帰った。
指にはめたときの心地よさ、なにより“あぁ、これをつけていたら幸せだ”とまで思えた高揚感が、私の背中を押した。売り場のお姉さんも、即決した私に驚いていたのを覚えている。
それが私のFirst BELLESIORA。
いまでは廃盤になってしまったけれど、私の一番の相棒リングだ。

これをつけて、新しい配属先でも頑張ろう。そう胸に誓った私だったが、配属されたプロジェクトでの成績は散々だった。何十年もキャリアを積んだ人ばかりの中で、3年目の私はついていくのに精一杯だった。時には足を引っ張り、不貞腐れ、やけ気味になる事もあった。
そんな態度が目に余ったのだろう。上司に呼び出され、冒頭の言葉に戻る。
この当時、薄々感じていた“私は私が思っていたような有能な人間ではないのかもしれない”との思いをはっきりと感じた瞬間だった。そして一年の更新をされる事なく、私は古巣の部署へ戻ることになった。

この時の私は抜け殻だった。以前のように会議で声を上げる事も、積極的に大きな仕事をとりにいくこともなく、与えられた仕事を淡々とこなしていた。失意のうちに帰ってきた私を、周囲の人は腫れ物のように扱った。そのことが私をさらに孤独にさせた。

そんなある時、女の先輩が私に回覧を持ってきた。
私がプロジェクトリーダーを務めたプロジェクトに所属していたこともある先輩だった。仕事以外では口を聞いたことがない先輩が私に言った。
「そのリング、とても素敵だね。どこで買ったの?」
優しい柔らかな笑顔を見た時、巻き戻るように記憶が次々と蘇った。
社内改革プロジェクトでの辛い日々、配属を告げられた時の喜び、3年目でリーダーになって天狗になっていたこと、目の前にいる先輩をぞんざいに扱った事もあった。そんな私に優しく声をかけてくれる先輩。色んな思いがごちゃ混ぜになりながら先輩と話をした。会社の人と、仕事以外の会話をしたのはとても久しぶりのことだった。

あれから7年経った。
先輩は結婚して退職した。私はまた順調に成績を上げていき、また自信を取り戻した。いまではプロジェクトマネージャーを務めることもある。
リーダーの言った「仕事以外で学ぶべきこと」がなんだったかも、いまならわかる。人によって態度を変えたり、不貞腐れながら仕事をする、私の人としての在り方、仕事への姿勢を窘めてくれたのだ。
でも時々、仕事をしていて不遜な態度が顔を覗かせそうになる時がある。

そんな時、先輩のような優しい人になりなさいと、First BELLESIORAが私を諫めてくれる。
仕事に疲れてやる気が出ない時、踏ん張り時にもFirst BELLESIORAが私を叱咤激励してくれる。

7年経って、ジュエリーボックスの中は賑わい、BELLESIORAのジュエリーも増えたけれど、私がhandsomeな人間になれるよう、いつもそばにいて力を与えてくれるのは、10年前に買ったこの一番の相棒リングだ。


OTHER STORY